あらすじ

「魔物飼い」と蔑まれ、村で一人暮らしていた十二歳のフィンは、食い詰めた末、龍の卵を盗んで売り飛ばそうと、山の奥へ登った。 そこで出会ったのは、瀕死の白い龍だった。国王軍の襲撃を受け、絶命を待つばかりの、シュノの母——カグラ・ネーヴェ。 盗みに来たと打ち明けたフィンに、龍は言った。「生かせ」。それが、託された最後の言葉だった。 孵った子——シュノは、白銀の髪と琥珀の瞳を持つ、龍の子だった。 世界は、龍を悪と信じている。英雄が討った太古の敵、討たれて当然の生き物。絵本の中で、酒場の話で、村人の口で、龍は「世の中の害」として語られ続けている。 だからフィンは、シュノの角を帽子の下に隠して、育てた。「ふぃ」と呼ぶ、たどたどしい声に応えながら。粥を炊く、布を替える、抱いて歩けば寝る、ということを、一つずつ覚えながら。 やがて二人は、村を離れて旅に出る。王都、ヴェルダの街、丘の連なる道。相棒の魔物ディグナと、旅の途中で得た研究者アイザックと共に、二人は東へ向かう。誰も知らない、龍の眠るという山の奥へ。 シュノは少しずつ育っていく。フィンの手を握って歩き、初めての人間の子供と遊び、絵本を覗き込む。フィンも、少しずつ変わっていく。孤児院で誰にも心を開けなかった少年が、シュノを抱えて、人と言葉を交わせるようになっていく。 ——シュノは、フィンよりずっと長く生きる。自分がいなくなった後、この子はどうなるのだろう。 その問いを抱えたまま、フィンは今日もシュノの隣を歩いている。いつか、シュノが空へ帰る、その日まで。

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小説を読もう2026/07/10
  • 現在の作品君が空へ帰るまで —魔物飼いと龍の子—