あらすじ

たとえばね だれかに、空は青く澄んで眩しいと言われたら 僕は、そうか……と言って あらかじめ、手をかざして空を見上げる だけどごめんね ほんとうは、僕には青くも見えないし、眩しくもないんだ 真っ赤な林檎だよ だれかが、そう言ったとしても、赤でもないし、紅くもないんだ じゃあ、何色なんだって思うよね? 答えは簡単 ……何色でもない それでも時折見えるのが あの真夜中の海の色なんだ だから…… きみにだけは、見えないままでいてほしい 限りなく漆黒に近い あの青を…… ── たとえば おまえが、晴れ渡った空を曇天だと言ったなら 俺は、ああ、そうか……と言って 空に目を細め、かざした手をそっと下げる わかってるよ おまえにはまだ、蒼空の青は眩しすぎるんだよな あの林檎は何色なの? おまえが、そう尋ねるなら、赤でもなく紅でもない、真っ赤だと俺は答える わからないなら、それでいい 知りたいなら、俺がなんだって教えてやる だから…… 俺にだけは、見せてほしいんだ 限りなく漆黒に近い その青を…… 一緒なら必ず 綺麗な青だと、笑い合って言えるはずだから                  【 失色与彩 】 ─── ※本作は、色彩を失い夜道をひとり歩む少年と、色彩豊かな昼道へと連れ出すために強引に、されどどこまでも誠実に寄り添い続けると決めた少年との、恋愛や性愛(BL)を一切超えた先にある「魂の救済」を描いた現代ドラマです。 (※本編の合間には、ちょっとした日常の会話劇や超短編『幕間』も収録していく予定です)

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カクヨム
カクヨム2026/07/10
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