あらすじ

没落したアシュレイ伯爵家の末娘ミラベルは、元宮廷料理人見習い。厄介払い同然に、 北の辺境グラウフェルト領へ「三月で離縁する契約結婚」の花嫁として送り込まれた。 相手は、誰の前でも一言も喋らぬ“氷の辺境伯”ディートハルト。 ところが婚礼の夜、ミラが有り合わせの食材で仕立てた一皿を出したとたん、 この寡黙なはずの男は、堰を切ったように喋りはじめる——それも、彼女の食卓でだけ。 本人はまるで気づいていない。呆れて、面白がって、ミラは氷の辺境伯を観察する。 やがて隣領との同盟を賭けた宴が近づき、卓上に毒の影が差す。 宮廷仕込みの舌と毒草の知識で、ミラは辺境伯の命と同盟を救う一手を打つ。 そして衆前で、無口な男がたった一度だけ口にする。 「この女の飯を、三月で手放す気は、俺には最初からなかった」—— その一言が、かつて彼女を見限った家の者たちを、呆然と立ち尽くさせた。

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小説を読もう2026/07/10
  • 現在の作品三月《みつき》で離縁する契約結婚のはずが——氷の辺境伯は、わたくしの夕餉《ゆうげ》の席でだけ、口を閉じてくださいませんの