あらすじ
誰でも体験しそうな日常、そこから生まれた希望。
それを胸に抱いて憧れの小説家の影を必死に追う。
彼が思っているほど、憧れの姿は遠くはない。
中学時代にたった一冊の本に人生の根幹を変えられた少年、霧島圭介。
憧れの作家に会いたい。
誰でも思うことだ。しかしながら、それだけでは足りない。自分の秀でた力を才能と呼ぶべきか否か、相談相手すらいないという圧力の中で、必死に税を持つ農民のように耐え忍んである高校への入学を果たす。
文芸部の扉を開ける。中には先輩が二人。もう片方は朗らかであるけれど、片方は違う。
知的であって、人を寄せつけないような人、古奈加晶子と圭介はそうやって出会った。その出会いが、ふたりの平凡な夏を塗り替えてしまうのだった。
たった一人の高校生が、奇跡待ちである小説家という職業を志すだけの、短く儚く滑稽な三年間を記した文章である。