あらすじ
「殿下、その恋愛案件は未審査です」
王立恋愛倫理審査官クラリス・エルウッドの仕事は、身分差や恩義で受け入れるしかない恋を、対等な立場で選べる状態に正すこと。大広間で公爵令嬢との婚約破棄を宣言し、「真実の愛を見つけた」と侍女メイリーンに求婚した王太子の案件も例外ではない。
恋愛に許可はいらない。だが断れない状況で差し出された愛を、審査室は受理しない。
王太子案件を公開審査へ回した翌日、クラリスの机に憧れの騎士団長アルベルトからの求婚状が届いた。「一生守る」「何者からも守る」。重すぎる恋文は、もちろん差し戻し案件だ。
公開審査でクラリスが読み上げるのは、メイリーンが誰の顔色もうかがわずに書いた回答書。王太子の「真実の愛」を差し戻したあと、クラリスに届いたのは、騎士団長が何度も書き直した三通目の求婚状だった。
これは、断れない恋を許せない審査官が、初めて「安心して悩める恋」を受け取るまでのお話。