あらすじ
明治十一年五月。大久保利通が暗殺された翌朝、東京の魚はいつもより安かった。
西南戦争帰りの元士族・相良鉄之助は、死んだはずの戦友の妹を救うため、一枚の金禄公債を売りに兜町へ来た。
だがその証書には、あるはずのない赤い印——「第零号」と呼ばれる裏の親番につながる、国がもっとも見られたくない秘密が刷られていた。
海運橋の血文字。偽造原版。水底の銅箱。士族の禄を買い叩いた者たちの裏帳簿。
魚河岸の娘・りん、帳簿の天才・志乃と組んだ鉄之助は、東京株式取引所が産声を上げる街で、名前と値段をめぐる争奪戦に巻き込まれていく。
刀の時代は終わった。だが、帳面は人を斬れる。
公債になった武士の名を取り戻す、明治金融冒険譚。
※全四十章。毎日20時05分更新で完結まで投稿します。