あらすじ
神話にまつわる幻覚・幻聴・異能を発症する奇病――TPS(神話精神症候群)。
その治療を行うのが、帝流県立第七学園高等学校、通称「帝流学園英雄病棟」。
一足遅れて入学した少年・楼蓮足斗は、卒業を目指して学園生活を送りながら、自らの病と向き合うことになる。
授業、カリキュラム、友人との交流。
穏やかな日常は、老鴉町で起きた連続殺人事件を境に静かに崩れ始める。
病を治療しているはずだった。
だが、本当に治療されていたのは誰だったのか。
これは、一人の患者から始まり、世界そのものへと繋がる”診療録”である。
※以下、選考委員向けの設定補足(巻末までのネタバレを含みます)
•フェイク主人公構造:1巻の主人公・楼蓮足斗は「実は真の主人公ではない」ことが1巻ラストで示唆される。真の主人公は担当教員・徒花零太であり、2巻以降は視点が徒花へ移行する。1巻を読了後に読み返すと、徒花の言動に伏線が仕込まれていたと気づける設計。
•世界観の核心:TPS(英雄病)の発症条件は「故意・過失を問わず殺人を犯した人間」であること。学園の生徒は全員が罪人であり、本人たちはその事実を知らない。1巻末でこの真実を開示する。
•ムネモの正体:見た目は帽子をかぶった美少女だが、実体は学園地下の水槽に浮かぶ「脳」であり、現実改変能力による幻覚を人前に投影している。1巻内で早期に正体を明かし、以降は「なぜそこまで足斗に肩入れするのか」という感情面の謎に主眼を移す。
•治療の必然性:なぜ実在の同級生(汐見)を巻き込む治療法が必要だったのかについて、「TPVS保持者は物語の虚偽を無意識下で検知するため、疑似的な罪悪感付与では治療効果が生じない」という臨床上の設定を用意し、倫理的整合性を担保している。
•今後の展開(2巻以降の構想):徒花零太が実は元少年兵であり、TPSの当事者でもあったこと、校長ヘデラの正体、そして世界そのものが「ある存在の見ている夢」であるという大枠へと発展する長編構想。1巻はその導入部にあたる。
•ジャンル的な立ち位置:学園ミステリーとして読ませつつ、能力バトル・現実改変SF・群像劇へと段階的にジャンルの手触りを変えていく構成。単行本1巻はあくまで「学園ミステリー」として着地させ、読者に続刊への期待を残す設計。