あらすじ

大学生の主人公優里のもとで、不思議な現象が起こる。友人のいつきと訪れたテーマパークの『アメリカンパーク』、泊ったホテルのパウダールームの鏡に映った男の子の姿を見て、優里は気を失ってしまった。 似た現象はその後も続く。祖父の家の近くの公園の手洗い場の鏡に映った男の子、祖父の家の奥の和室の化粧台の鏡に映った男の子、彼は何故か優里に向かって微笑みかけていた。 大学で心理学を学んでいるいつきに相談したところ、いつきは『投影』という心の動きに関係しているのではないかと推測した。過去に体験したことやそのときに抱いた感情などが、ときを経てその人が同じような場面に出くわしたときに、目の前のものに重ねて見える現象のこと。 ある日、母が使っている整理ダンスの中から、へその緒が入った二つの箱を見つける。一つは自分のものでもう一つは『優人』という名前が彫られた桐の箱。さらに、母の代わりに行ったお墓で見つけた、墓石に彫られた『優人』の名前。そこには、『優人』が五歳で亡くなったことが記されていた。 思い返せば、優里が小学校に入ったとき、両親が優里を連れて突然丘の上に引っ越しをした。さらに、母からは、危ないから祖父の家に行かないように言われていた。その母は、毎月決まった日に、墓参りに行っている。そのあたりのことが、『優人』と呼ぶ男の子と関係があると思い至った優里は、祖父の家を訪れたある日、かつて暮らしていた和室に残っていた洋服ダンスを開けた。そこで見つけたのは、袋に詰め込まれた男の子の服。そのズボンのポケットから、優里は一枚の紙を見つける。それは、弟が姉に向けて書いた手紙だった。 自分には、かつて弟がいたことを確信した優里。弟が手紙に書いていた願いを叶えるために、思い出の『アメリカンパーク』に向かった。そこで、クリスマスツリーに向かって、弟に会いたいと願いを込める優里。 その後、一通の郵便が優里の元に届く。『開園十五周年記念イベント』と書かれた封筒。中から出てきき家族四人で写る写真。やはり、そこに写っていたのは、優里が鏡の中で見ていた男の子だった。実は、その写真に写っている男の子、つまり弟が大事に持っていたのは、今もリビングに飾ってあるぬいぐるみだった。いわば、弟の形見のようなもの、優里は弟がいつもそばで見守ってくれていたことに思いを馳せるとともに、弟の分まで生きていこうと決意した。

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小説を読もう2026/07/10
  • 現在の作品鏡の中のゆうちゃん