あらすじ

老女王エリザは、不老不死の杯を前に、静かに首を横へ振った。 死にたいわけではない。明日の朝も、その次の朝も見たい。けれど、終わりのない体になることを望んではいない。 母を失う恐怖から杯を迫る王太子エドガー。奇跡で救えなければ自分には価値がないと涙する聖女。誰もが女王を愛しているのに、その愛の声が大きくなるほど、寝台の女王の声だけが小さくなっていく。 前世が緩和ケア看護師だった看護係リナは、胸元を握る指、浅い呼吸、乾いた唇に気づく。秘薬を選ばなくても、痛みを小さくし、息を整え、会いたい人と言葉を交わす時間は守れる。 永遠を差し出す金の杯と、今を支える白い水差し。 治せない夜の中で、リナは女王の「今日」を守れるのか。窓の向こうに朝がほどけるとき、母と息子の間に、怒鳴り声ではない言葉が戻ってくる。

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小説を読もう2026/07/10
  • 現在の作品不老不死を断った女王へ、前世緩和ケア看護師の私は痛みを小さくして「今日の朝」を返す