あらすじ
【介錯された女剣士、辺境の令嬢に「救世主」と呼ばれる】
会津戦争、慶応四年八月二十五日。妹の手にかかり首を落とされたはずの中野竹子は、光の粒子となって消えた次の瞬間、見知らぬ異世界の森で目を覚ました。
傷ひとつない体。だが心は、置いてきてしまった。守るべき主君も、帰るべき故郷・会津も、もう無い。ならばこの命、何のために使えばいいのか――答えのないまま彷徨う竹子が出会ったのは、崩れかけた辺境領を必死に支える十六歳の令嬢・イルミナだった。
「あなたは、我が領の救世主です」
その姿に、竹子はかつての主君の面影を重ねる。エルフの狙撃手、獣人の重戦士、没落貴族の魔導技師——行き場を失った少女たちを拾い上げ、竹子は異世界に「新・娘子隊」を結成する。
だが、迫りくる帝国の影。かつて人斬りとして生きた転移者・岡田以蔵は「会津の忠義など、ただの呪いぜよ」と嘲笑い、冷徹な政治家・メビック伯爵は「無駄な抗戦は罪だ」と正論を突きつける。それはかつて竹子自身が会津で聞いた言葉と、あまりに似ていた。
もう一度、何も守れずに終わるのか。それとも――
亡霊と呼ばれた薙刀使いが、この異世界で見つける新たな「義」とは。
「武士の猛きこころに、くらぶれば――亡霊は、今度こそ守り抜く」