あらすじ
クリスマスイブの夜、私は三年付き合った恋人と別れて十日目を迎えていた。
街はイルミネーションで明るく、誰もがこれから向かう場所を持っているように見える。
けれど私は、まっすぐ家に帰る気になれなかった。
そんな夜、ふと思い出したのは、大学時代によく通っていた小さな喫茶店だった。
喫茶あかり。
古いガラス戸、曇りやすい窓、クリームソーダ、静かなジャズ。
何年ぶりかに訪れたその店には、昔と変わらない空気と、少し大人になった湊がいた。
失恋が消えるわけじゃない。
明日になれば、また少し胸が痛むかもしれない。
それでも、温かいものを食べて、少し笑って、好きだった場所まで自分の足で来られた夜。
これは、終わった恋のあとに、ほんの少しだけ明日へ進む物語。