あらすじ
初秋のある日、高校二年生の「私」は、ある新しい墓を参っていた。
幼馴染の冬也のこの墓は、冬也の父親が知っている中では一番安い、中国産の白御影石だと聞いた。
「私」はようやく、手にして二週間も経ってから、冬也にもらった手紙を開いた。
どうしても今まで読む気になれなかった。読まなくてはならないと思いながら。
冬也が、最後に「私」に残した思い出は最悪だった。
汚くて、ばかばかしくて、もし「私」が冬也に恋愛感情を抱いていても、あのただ一度の醜態で、百年の恋も冷めただろう。
好きになったりしなくてよかった。
ただの幼馴染のままで、本当によかった。
そう「私」は思う。
そうでなければきっと「私」は、冬也のあんな死に耐えられなかった。
「前略
これを君が見るのは、僕がこの上ない醜態をさらした後だろう。
さぞかし滑稽で、醜悪な思い出を残したことだと思う。
でもどうか、君にだけはこの手紙を読んで欲しい。
僕は失敗だったけど、君は絶対に違うのだから」