あらすじ
母の一周忌を前に、実家へ戻った美咲は、仏間に飾られた遺影に違和感を覚える。
亡くなった母の顔が、昨日より若く見えるのだ。
気のせいだと思いたかったが、翌朝、遺影の母はさらに若返っていた。白髪が消え、皺が薄くなり、美咲の知らない若い母の顔へと近づいていく。
押し入れから見つかった古いアルバムには、若い母が赤ん坊を抱く写真が残されていた。その子は、美咲でも兄でもない。
やがて美咲は、母が生涯隠していた第一子の存在と、兄が母の願いを封じていた事実を知る。
遺影の若返りは、ただの心霊現象なのか。それとも、家族が見ないふりをしてきた罪の形なのか。
死者よりも、生きている家族の方が怖い。
そう思ったとき、遺影の中の母が初めてこちらを向いて笑った。