あらすじ
この国には、少子化対策のための「次世代育成センター」がある。
優秀な平民女性を選び、上層階級の子どもを産ませる場所。
選ばれることは名誉とされるが、本人に拒否権はない。
国立センターを出た日向千鶴、二十三歳。
彼女は補償金で買った田舎の白い家に、一人で暮らしていた。
その庭を秘密基地にしていた十一歳の夏樹は、千鶴が焼く菓子と、自分のためだけに用意された炭酸飲料に惹かれ、白い家へ通うようになる。
長い年月が過ぎ、成長した夏樹は千鶴に告げる。
「好きです」
千鶴は、困ったように笑った。
少女漫画のように始まった恋を、人間牧場が奪っていく。
これは、国家に人生を選ばれ続けた女性が、最後に自分の意思で扉を開くまでの物語。