あらすじ
夫の幼馴染が、義母の介護をしている――。
最初は戸惑いしかありませんでした。
仕事から帰ると、義母の部屋はきれいに片付き、食卓には温かい手料理が並んでいる。そのすべてをしていたのは、夫の幼馴染・真由でした。
助かっているはずなのに、胸の奥がざわつく。
義母は真由を見るたびに笑顔になり、夫は昔話に花を咲かせる。そこに恋愛の気配はない。それでも、自分だけが知らない時間、自分だけが入れない思い出があることに、美咲は少しずつ心を曇らせていきます。
「ありがとう」と言えない自分が嫌になる。
「助けてもらっている」と分かっているのに、どうしても素直になれない。
介護は、一人では続けられない。
けれど、人に頼ることは、時に自分の居場所まで揺らしてしまう。
これは、不倫でも、裏切りでもない。
善意の人に嫉妬してしまう自分を、最後に許せるようになるまでの、小さくて長い家族の物語です。