あらすじ
大陸の片隅にある、どこにでもあるような山間の村。
江厲(ジャン・リー)――十三歳の少年は、旧人類として、今の田舎暮らしに満足していた。
しかし、平穏だった山村は、いくつかの外的要因によって、その様相を変えていく――
利益、憎しみ、裏切り、策略……。
それらが絡み合い、江厲の人生は大きく揺れ動き、全く異なる軌道を辿ることになる。
「人界? 魔界? 天界?」
「この世界は、こんなにも広かったのか……」
――数年後。
桃の木の下。
江厲は椅子に腰掛け、感慨に浸っていた。
まさか自分が、何の後ろ盾もなく、家族も宗门(しゅうもん)の助けもない一介の普通人から、頂点に立つ存在になろうとは。
眼下に広がる緑野と街並みを見下ろしながら、言葉にしがたい想いが胸に込み上げてくる。
自然と、口が開いた。
「暁露(ぎょうろ) 衣に沾(ぬ)れて 莽藤(もうとう)に入る」
「親盟(しんめい) 化烬(かじん)して 骨は棱(かど)を鋳(い)ず」
「死海(しかい)の 千層(せんそう)の 渋(しぶ)さを呑み尽くし」
「雲涛(うんとう)と故雪(こせつ) 峰に満ちて澄む」