あらすじ
名前を忘れられた女が、石の台の上で目を覚ました。自分は何かを覚えているはずなのに、何も覚えていない。灰髪の少女が目の前に立っていた。女はその後を追った。
森を抜け、廃墟を抜け、大雪と雨の夜を歩いた。女は少女に名前をつけ、少女は自分の上着を女に差し出し、夜の見張りのときに「怖がらないで」と言った。女は、これが旅なのだと思っていた。少女がずっと自分を待っていたと知るまでは。女自身が覚えているよりも、ずっと長く。
二人の間には深い川が横たわっている。その川の名は「殺し」。ただ歩いて渡るしかない。誰も許さず、誰も離れない。
これは「愛」の物語ではない。これは、たとえあなたが彼女にとって最も許せない人間であったとしても、それでもあなたを待っていてくれる誰かがいる、という物語だ。
どうか、あなたがもう独りではありませんように。