あらすじ
情熱乃丘(じょうねつのおか)女子高等学校の入学式が翌日に控えた、夕暮れ時の事
中学を卒業して、まだ何者でもない1人の少女がフォークとスプーンを持って高校や町の名称の由来となった『情熱の丘』にやって来た
春休み中…ずっとリサーチしていた『情熱の丘』の真ん中にある、巨大な紅葉の樹液を飲む計画を実行に移す為に。
少し時間が経ち…同じく、まだ何者でもない1人の少女が息を切らしながら、『情熱の丘』にやって来た
お昼に家の前で、待ち伏せしていた同性の元後輩達(59人)に集団告白されて…辛うじて逃げ切れたのはいいものの、疲れてしまい、休息が取れる場所を探しに。
それから、また少し時間が経過すると…同じく、まだ何者でもない1人の少女が、俯きながら『情熱の丘』にやって来た
今の生活が嫌で、屋敷を飛び出したのはいいけれど、特に行く当てもなかったから。
またまた時間が過ぎて、月が空に登った頃…3人と同様、まだ何者でもない少女がふらふらとした足取りで、『情熱の丘』にやって来ていて……その光景に絶句した。
1人はお腹を下したのか、木の下で静かに悶絶していて、1人は木の上に寄りかかり、うっとりとしながら、星空を眺めていて…1人は木の下でしゃがみ込み、声を殺して泣いている。
同じ歳くらいの子が、同じ場所に居て、こんなにも近くにいるのに、誰とも干渉せず、まるで、各々が違う世界で生きているみたいで…とても衝撃的だったのだ。
4人目に来た少女は、小さく欠伸をしてから、面白半分で3人に聞こえるくらいに、大きな声で話しかける。
「ねえねえ。もし高校同じだったらさ、あたし達でバンド組もうぜ!絶対楽しいって!!!!」
「ぅ…うぅ。誰かぁ…口直しに良さげな、とっても甘いお菓子を…うう…」
「ひゃ!?だ、誰!?!?う、うわっ…」
「っ…危ない!!……だ、大丈夫ですか!?」
「ぁえと…その、ありが…とう。」
「誰かぁ…ギブミー…」
価値観も性格も全てがバラバラな少女達のこれが、初めての出会い。
———伝説の始まり…とは一切、関係ない。
4人目の少女のお友達の物語。