あらすじ

兄について、手帳に残っているのは五行だけだった。 荷物の熱を一度読むたび、その一行が、意味だけを失っていく。 魔王戦争が終わって三年。辺境の灰鳩(はいばと)郵便局には、届くはずのなかった荷物ばかりが帰ってくる。 見習い配達員ユリスは、荷物に残った最後の熱を読むことができる。だが、そこから分かるのは、答えでも、人の心でも、未来でもない。読めば、兄が減る。 戦死した若者の手袋。片腕を失った料理人へ届く銀匙。王都から届く焼却通達。 留置、返戻、受取拒否記録、局印。ユリスと局長代理ミラは、帳簿に残った小さな矛盾から、燃やされるはずだった荷物の意図を復元していく。 荷物を届けるたび、戦争で止まっていた町の時間が少しだけ動き出す。 そんなある日、死んだはずの勇者アルドから、先週の消印が押された荷物が届く。 差出人は、まだ生きているのか。 それとも、戦争はまだ終わっていないのか。 二人が規則に背いた夜、王都中央郵便本局の照合官が灰鳩局の扉を叩く。

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カクヨム
カクヨム2026/07/09
  • 現在の作品死んだ勇者から、先週の消印で荷物が届いた ~読むたび、兄を一行ずつ忘れる~