あらすじ
「もし、僕が消えたら――世界は、笑ってくれるだろうか」
世界をダンジョンへと変える、禁忌の力を宿した少年・成瀬壮馬。
かつての日常が崩れ去る中、彼は幼馴染の少女・つむぎと共に、世界を救うための旅に出る。
それは、彼が人間としての記憶を、感情を、そして愛した人の名前さえも精霊の力へと変換し、捧げ続ける過酷な旅路だった。
九つの魔石を集め、最後に世界を編み直した壮馬は、光の粒子となって消えた。
歴史は正常化され、人々は「あの日」のことを忘れた。
世界から「成瀬壮馬」という存在が消え、平和な日常が戻った――はずだった。
それから五年。
看護師を目指し、静かに生きていたつむぎの前に、かつての面影を残した少年が現れる。
彼は記憶を失っていた。けれど、その瞳には、つむぎを慈しむ「あの日」と変わらぬ色が宿っていた。
「おかえりなさい」
「ただいま。……もう、どこへも行かないよ」
これは、一度は自分を消し去った少年が、運命の輪を回して、もう一度君と「当たり前の幸せ」を掴み取るまでの物語。
かつて命を削って編み直したこの世界で、今度は精霊も、紋章も、全てを愛の象徴に変えて。
最強の探索者として、そして一人の少年として。
僕たちは、終わることのない放課後の続きを歩いていく。