あらすじ
「リーゼロッテ、お前との婚約を破棄する」
大広間で王太子ジークハルトが告げたのは、聖女候補アメリアとの「真実の愛」。だが誰も知らない。城で崇められる聖女の癒やしの奇跡が、実はリーゼロッテが調合し密かに卸していた解毒ポーションと消毒薬の効能だったことを。
前世は現代日本の製薬会社で過労に倒れた彼女。功績を奪われ、婚約まで破棄された今、静かに礼をして広間を去る。もう我慢はしない――「評価されないなら、価値ごと引き上げるまでです」。
匿名の薬師として冒険者ギルドに登録し、前世の化学知識で純度九割八分の高品質ポーションを量産。王城への供給元が消えた途端、偽物の聖女の力はみるみる衰えていく。「材料が尽きれば、力も尽きる。種は――ずっと、私の手の中にあったのだから」
そして建国祭の夜、身分も婚約も問われない仮面舞踏会へ。正体を隠して踊る彼女を、あろうことか自分を捨てた王太子が口説き始める。仮面の下で微笑みながら、彼女は偽りの城に最後の始末をつける――。
凛と自立していく転生令嬢に、真の対等な居場所と出会いが訪れる。ざまぁあり、痛快自立ストーリー、短編。