あらすじ
「その蜜色の髪と、隠された痣。やはりお前は"穢れた聖女"だ。婚約は破棄する」
聖女認定式の大広間で、王太子ジークにそう告げられたセリカ。異母妹アメリアに暴かれた鱗状の黒い痣は、長年「呪い」として彼女を苦しめてきた。
前世は日本のブラック企業で搾取され、床に倒れて死んだ社畜——澤村芹。転生してもなお、癒しの力で王国を支えながら、功績はすべて妹に奪われ、「地味で不気味な予備」と蔑まれてきた。
(今世でも『無償の善意』は、ただで搾取されるものらしい)
だからこそ、彼女は喚かず、泣かず、静かに一礼して去る。ただし——長年この国を守ってきた『大結界』の"鍵"は、自分の血に紐づけて握ったまま。社畜時代に叩き込まれた「引き継ぎ資料は自分にしか分からないよう握っておけ」という教訓が、まさかここで役に立つとは。
王都を追われた夜、崩れゆく結界の音とともに、うなじの痣が燃えるように熱を帯びる。倒れかけた彼女を抱き留めたのは、冷酷無比と噂される竜人将軍だった。
「これは呪いではない。竜神アズヴァルドの『加護痣』だ。……あんたは"穢れた聖女"じゃない」
数百年に一度の聖印を持つ、竜神の花嫁。追放された令嬢は今、竜人の里で新たな人生を歩み始める。痣を隠さなくていい。功績を奪われない。倒れるまで働かなくていい——。
国を見返し、残業ゼロの花嫁業を満喫するはずだった、が?
ざまぁ×溺愛×社畜転生。理不尽に耐え続けた彼女が掴む、痛快な逆転の物語。短編・完結。