あらすじ

消えゆく町の地図と、消えた息子。 言葉を削ぎ落とした果ての空白の物語。 9月、風のない町。 記憶の底に沈んだかつての風景を拾い集めるように、緻密だが頼りない手描きの地図を紡ぐ女性・詩乃。 彼女はある日、完璧な昆虫の精密画を残して消えた青年・灯(ともる)の母親である八重子と出会う。 灯が遺したアトリエの床下で見つかった、一匹の美しい蝶の標本と、一冊の画帖。 青年の孤独と狂気に引き寄せられる詩乃に対し、八重子は冷徹に「すべて忘れるの」と告げ、息子の絵を二つに裂いた。 忘却に抗うように靴底を減らし、変わりゆく町を紙の上に積み重ねていく詩乃。 やがて巡りくる秋の終わりに、二人が座卓を挟んで見つめた「地図」が意味するもの。

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小説を読もう2026/07/09
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