あらすじ

夕暮れの旧校舎、第四音楽室。 天才的なピアノの腕を持っていた親友の麻衣は、ある日そこから忽然と姿を消した。 警察は家出として処理したが、結衣(ゆい)は納得できない。なぜならこの学校には、「逢魔が時に無人のピアノが奏でるシューベルトの『魔王』を最後まで聴くと、神隠しに遭う」という恐ろしい都市伝説があったからだ。 親友の行方を追う結衣は、藁にもすがる思いで一人の青年に調査を依頼する。 彼の名は、九条(くじょう)。音にまつわる怪異を専門とする、若き「音響民俗学者」だった。 失踪時刻。二人が旧校舎の第四音楽室に足を踏み入れると、無人のグランドピアノの鍵盤がひとりでに沈み、あの不吉な『魔王』の四連符を奏で始める。 曲の加速とともに、音楽室の床は腐葉土へ、壁は鬱蒼とした夜の森へと変貌していく。それは、音が作り出す「異界への扉」だった。 猛スピードで迫り来る巨大な魔王の影。亡者たちの手。現代の音響機材すら通じない呪われた旋律の世界で、曲が終わりを迎える(=死)前に、二人は生還することができるのか? 完璧な呪いの旋律を打ち破るのは、たった一つの物理的な不協和音。 戦慄の音響サバイバルホラー、開演。

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小説を読もう2026/07/09
  • 現在の作品音響民俗学者・九条の事件簿