あらすじ

必要とされることを、愛だと思っていた。 小伯爵家の令嬢リゼットは、神託により王弟セドリックへ嫁ぐ。 けれど王宮で待っていたのは、花嫁としての幸福ではなかった。 夫は夜明けごとに、別人のように変わる。 冷たい執政者、警戒する騎士、甘い詩人、幼い少年。 リゼットは毎朝、夫が誰なのかを見極める。 薬を選び、食事を変え、禁句を避ける。 面会の順を整え、祈りの言葉まで直す。 そのすべてを、黒革の記録帳に書き続ける。 王宮は、何も起きない朝を喜んだ。 けれど、その静けさの裏で、リゼットの名前は薄れていく。 妻だから耐えるべきだと、誰も疑わなかった。 毎朝別人になる夫を支える記録帳。 それがなければ、この結婚は一日も保たない。 だが、その帳面に書かれていない痛みを、誰が知るのか。 神託は、本当にリゼットへ耐えろと命じたのか。 必要とされることは、本当に愛なのか。 記録帳を閉じた彼女が、次に選ぶ朝は、誰のためのものなのか。

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小説を読もう2026/07/09
  • 現在の作品毎朝夫が別人になりますので、私は私の朝を選びます。