あらすじ
王立学園の卒業舞踏会で、王太子レオナードは婚約者アデリーナ・グランディアとの婚約破棄を高らかに宣言した。
隣で涙を流すのは、可憐で儚げな義妹ミレイナ。
「お姉様に虐げられてきました」
その一言で、貴族たちはアデリーナを悪女と決めつけ、王太子は追放まで言い渡す。
だが、当のアデリーナは取り乱さなかった。
「承知いたしました。では、契約を終了いたします」
その静かな返答を境に、王国は少しずつ壊れ始める。
融資は止まり、港は滞り、軍需は遅れ、商人たちは王家から離れていく。
王太子は気づかない。
自分が捨てたのが婚約者ではなく、王国を支える土台そのものだったことに。
やがて明らかになる義妹の嘘と偽証。
そして、王家が下した断罪の誤り。
悪女と蔑まれた公爵令嬢は、何も叫ばない。
何も奪い返そうとしない。
ただ契約どおりに手を引くだけで、王太子と義妹、そして王家は自ら崩れ落ちていく。
これは、理不尽に婚約破棄された公爵令嬢が、静かにすべてを終わらせる物語。
そして、手遅れになってから自分たちの愚かさに気づく者たちの、救いのない破滅の記録である。