あらすじ
1989年、香港・九龍城。
取り壊しが決まり、少しずつ人の姿が消え始めた“東洋の魔窟”。
その一角で売春宿を切り盛りするMaryのもとに、13Kのリーダー・強哥(キョン)が一本の白酒を抱えて現れる。
「今夜、屋上で一緒に飲まないか。」
二人きりで酒を酌み交わす、最初で最後の夜。
少年だった頃の思い出、13Kを抜けるという決意、恋人ジェイドへの想い――。
そしてMaryもまた、誰にも語ることのなかった、若き日の切ない恋を静かに打ち明ける。
ネオンが揺れる九龍城の屋上で、夜はゆっくりと更けていく。
やがて迎える朝。
一杯の鴛鴦(ユンヨン)が、過去と現在をそっとつなぎ、新しい一歩を照らしていく。
これは、九龍城がまだそこにあった最後の時代を生きた人々の、優しくて少し切ない一夜の物語。