あらすじ
休日登校から帰宅し、うたた寝から目を覚ますと、私は言葉が通じない未知の「病気」を発症したことにされていた。
頭は正常に動いているのに、身体は麻痺して動かない。
必死に助けを求める声も、家族や医者には「意味を持たない唸り声」としてしか届かない。
二十年も隔離されているという伯母と同じように、私も監獄のような病室で半廃人として生きていくのか。
眉間へ極太の注射針を突き立てられる激痛と恐怖の中、私はなんとか自分が「言葉を理解している」ことを伝えようと試みる。
そして、その決死の想いが通じた瞬間——今まで私を搾取し、憎んですらいた「美しいだけの母」が、初めて母親らしい愛情を持って私を優しく抱きしめてくれた。
「こんな母なら、悪くない」
安堵の涙を流した直後、私は見慣れたリビングで目を覚ます。
そこにあったのは、言葉は通じるのに、心と愛情が一切通じない冷酷な現実だった。
身体の自由が奪われる悪夢と、心を搾取され続ける現実。
果たして、本当に恐ろしいのはどちらの世界なのか?
家族の歪みと背筋が凍るような絶望を描いた、戦慄の心理サスペンス・ホラー。