あらすじ
正義の味方・桃太郎が、人を喰らう邪悪な鬼を退治する――そんなおとぎ話は、勝者によって作られた「美しい嘘(ビジネス)」だった。
外界との関わりを断ち、豊かな自然の中でひっそりと暮らしていた温厚な鬼たち。しかしある日、黄金の鎧を纏った人間の青年・桃太郎と三匹の獣人(犬・猿・雉)が鬼ヶ島に上陸する。彼らの真の目的は「正義の成敗」という大義名分のもとに行われる、島に眠る財宝と資源の略奪だった。
無抵抗のまま次々と殺されていく家族同然の仲間たち。花を愛する心優しき「最弱の鬼」の青年・シオンは、大切な者たちを目の前で惨殺された絶望と怒りから、眠っていた真の力に覚醒する。
圧倒的な力を持つ「鬼神(きしん)」へと変貌したシオンは、生き残ったたった一人の幼い少女を守り抜くため、そして本土で英雄としてふんぞり返るすべての「桃太郎」を根絶やしにするため、血塗られた金棒を手に取る。
これは、理不尽にすべてを奪われた心優しき鬼が、偽りの正義を掲げる人間たちに牙を剥く、凄惨にして痛快な反逆の物語。