あらすじ
日照りと疫病に喘ぐ山あいの村。生き延びるため、父は末の娘・小夜を淵の主に差し出す。
白い衣を着せられ、水底の神域へ嫁いだ小夜を待っていたのは、涙も、名前も、時間さえも失っていく永遠の暮らしだった。不自由のない部屋、崇める者たち、そして誰よりも自分を大切に扱う神。それでも、満たされない場所が一つだけ残る。
幼馴染が迎えに来ても、帰る場所はもうない。
少しずつ人間であることを手放しながら、小夜がたどり着いた答えは──
「愛しています」
神は、静かに答える。
「知っている」
救いのない、それでも美しい、異類婚姻譚。全4話完結。