あらすじ
明治、大正、昭和、平成、そして現代――。
あらゆる時代の街並みが歪に混ざり合った、星も月もない夜の迷宮。
そこは、決して迷い込んではいけない「過去の街の骸」だった。
高校生の白峰遥は、地域の記念公園で煤けた奇妙な「黒い石」を拾った夜から、毎晩のようにその不気味な悪夢に囚われるようになる。
背後から迫る、空間が内側からへし折られるような悍ましい軋み音。――ベキ、ベキベキッ。
捕まれば、現実の存在ごと消し去られる。
逃げ惑う遥の前に現れたのは、今の現実には存在しないはずの古い緑色の公衆電話ボックスだった。
けたたましく鳴り響く黒電話の受話器を取ると、そこから聞こえてきたのは、自分と同じように怪異に追い詰められた「見知らぬ遭難者たち」の狂乱と絶望の悲鳴だった――。
現実世界で囁かれる不穏な連続失踪事件。
消えた人々が遺していた「毎晩、変な街の夢を見る」という奇妙な共通点。
日常の裏側で確実に破綻していく現実の中、遥は正気を保つために一冊のノートを手に、この土地の歪んだ歴史を調べ始める。
「奴と目が合ったら、終わりだ――」
受話器の向こうから届く遭難者たちの声は、果たして救いの糸口か、それとも破滅へのカウントダウンか。
現実と悪夢の境界線で繰り広げられる、緊迫のソリッド・サスペンスホラー。