あらすじ
没落した男爵家のわたし――クラリスを、「ずっと君を探していた」と言って娶ってくれたのは、国でも指折りの若き伯爵、セオドール様だった。
彼はわたしの好きなものを何もかも知っていて、望むより先に叶えてくれる。「君のすべてを愛しているよ」――そう微笑む旦那様との毎日は、幸せすぎるほど幸せ。
――ただ一つ。彼の語る『わたしたちの思い出』が、わたしの記憶と、どうしても噛み合わないのです。
十年前、青いリボンを贈り合った祭りの夜。……わたし、その祭りには行っていないし、青は苦手なのに。
屋敷には、開かずの部屋がひとつ。そして、わたしにそっくりな、知らない女性の肖像画。
※二人にとっては、最初から最後までハッピーエンドです。
※ほの暗いホラー風味(人間の狂気・執着)と切なさがありますが、ヒロインは絶対に傷つかず、"彼女自身として"深く愛されて幸せなままの物語です。幽霊やお化けは出ません。