あらすじ
「聖女セラフィーナ。お前との婚約を破棄する」
初雪の舞う王城の大広間。王太子アルヴィスは、癒しの力が枯れかけた「偽聖女」だと私を断罪した。隣で勝ち誇る男爵令嬢ミレイユを、本物の聖女だと称えて。
国のために聖力を捧げ、無償で民を癒し続けてきた私に告げられたのは、あまりに理不尽な仕打ちだった。
けれど――舞い散る雪のひとひらが、私の前世の記憶を呼び覚ます。過労で倒れた看護師、初雪。冷静な理系の目を取り戻した私は、一つの真実に気づく。私の聖力は枯れてなどいない。それは大陸全土を独りで浄化するために消費されていたのだ。そしてミレイユの「奇跡」は、私の結界に便乗した借り物にすぎない。
さらに思い出す。10年前、初雪の夜に助けた竜人の少年と交わした、あの約束を。
「必ず迎えに来る。この初雪に誓って――君を、生涯守る」
聖女職を辞し、私は歩き出す。私を蔑ろにした国が、いずれその過ちを思い知るだろう。そして、私を待ち続けていた氷竜の待つ国へ――。
前世の記憶を取り戻した聖女が、真の居場所と愛を掴む物語。ざまぁあり、ハッピーエンドの短編です。