あらすじ
「あ、そうだ。そろそろ――しないとなあ」
部屋で寝転んでいたおれは、ぼんやりと天井を見上げたまま大きくあくびをして、気だるい体をゆっくり起こした。窓から差し込む午後の陽射しは淡い橙色を帯び始めており、フローリングの床をぬるりと撫でていた。
壁掛け時計を見上げると、針は午後三時を少し回っていた。
もうこんな時間か……。春だし休日とはいえ、スイッチが切れたみたいに一日を何もせず潰してしまうのはさすがにもったいない気がする。かといって今から出かけるのも億劫だな。
そんなことをぼんやり考えながら、おれは腰に手を当てて大きく背中を反らせた。
ぽきりと腰の骨が小気味よい音を立てた――その瞬間だった。
突然、トイレのほうからドタバタと騒がしい物音が響いた。おれは思わずびくりと肩を跳ね上げ、反射的にそちらへ顔を向けた。
次の瞬間、バンッと勢いよくトイレのドアが開き、中から数人の男たちが濁流のごとく飛び出した。
「き、貴様! 今言ったな!」