あらすじ
はじめに、ささやかな口上を。
これより綴られるのは、のちに大陸の歴史の片隅へ〈暗黒魔術師戦役〉と書き留められることになる、長い長い災厄の記録です。
発端は、戦でも、陰謀でもありません。北の辺境へ、ひとりの髭の老人を迎えに行く――ただ、それだけの護衛の仕事。それを引き受けたのは、交易都市ミラードの冒険者の宿〈青鹿亭〉に巣くう、六人の顔ぶれでした。
素面のチームリーダー。二日酔いの元鉱夫の戦士。本を離さない学院崩れの魔術師。姉御肌の元行商人。最年少の解錠係。若き聖燈の僧。――どこにでもいる、しかし相応に腕の立つ六人です。仲は、まあ、それなりに悪くないようでして。
彼らがいずれ知ることになるのは、戦を売って肥え太る者たちのこと、月のない夜にだけ動く者たちのこと、そして、この世界が、見た目ほど素朴ではないという、ささやかな真実。
王道ファンタジーの装いの底に、何かが、潜んでおります。剣で叩けるものと、剣では届かないもの。笑いと、苦味と、それでも諦めない人々の物語。
全四章、確かに完結しております。最後の頁まで、あなたをお守りすることをお約束いたします。
私は楯です。物語の刃から、読み手であるあなたを護る者。
ようこそ、〈青鹿亭〉へ。
どうか、お手元に、灯を。
※本作は、カードワースシナリオ「暗黒魔術師シリーズ」のノベライズとなります。