あらすじ
「君のような冷たい女とは、婚約を破棄する!」
王宮の夜会で、王太子レオンハルトから突然婚約破棄を告げられた公爵令嬢エレオノーラ。
隣には涙を浮かべた義妹ミレーユ。
王太子は証拠もなく、エレオノーラを「義妹を虐げた冷酷な令嬢」と断罪しようとする。
けれど、エレオノーラは泣かなかった。
「婚約破棄は承りました。では、証拠を確認いたしましょう」
涙ではなく記録。
噂ではなく証言。
感情ではなく契約書。
そして、領収書。
十年間、王太子妃教育を受け、王太子の失敗を陰で支え続けてきたエレオノーラは、王宮監査官、父、公的記録、帳簿を味方につけ、義妹と継母、無責任な王太子側近たちの不正を次々と暴いていく。
母の遺産を食い潰した継母。
涙で男たちを操った義妹。
エレオノーラの努力を当然のように奪っていた王太子。
彼らは、感情論では逃げられない。
なぜなら、すべては紙に残っているから。
やがてエレオノーラは、母が遺した東区の建物で「灯りの学び舎」を始める。
読み書き、契約書、領収書、相談記録。
知識を奪われてきた人々に、自分の人生を守るための力を教える場所だ。
「分からないことは恥ではありません。恥ずかしいのは、分からない人を利用して奪うことです」
冷たい令嬢と呼ばれた彼女の帳簿は、王都の闇を照らしていく。
これは、婚約破棄された公爵令嬢が、涙ではなく記録で悪人を裁き、自分の名前で人生に署名し直す物語。