あらすじ
矢野学園には、願いを叶える桜――願い樹がある。
卒業式の日、失恋した榊晃人は、噂を信じていないはずのその桜に向かって、半ば自暴自棄に願ってしまう。
「この桜が女の人だったら、俺を慰めてくれるのかな」
「俺の恋人になってください」
数年後、母校に用務員として戻った晃人の前に現れたのは、願いから生まれたような美しい女だった。
彼女は晃人を夫のように扱い、当然のようにそばに居座る。
だが、その女との出会いをきっかけに、晃人は願い樹にまつわる奇妙な事件へ巻き込まれていく。
願い樹は、言葉だけではなく、人の心の奥に沈んだ本音まで聞き届ける。
そして、叶った願いは必ずしも美しい形で咲くとは限らない。