あらすじ
ハワード伯爵家に嫁いで六年。エレノアは領地経営も帳簿も社交も、家のすべてを回してきた。だが夫の口癖は「君の代わりはいくらでもいる」。社交界では笑いのネタにされ、あげくの果てに、若い側室まで家に迎えられた。
「嫌だと言うのなら、出ていけばいいだろ?」
――分かりました。では、引き継ぎ書だけ書かせていただいて、出ていきます。
三日三晩かけて書き上げた全十二冊の引き継ぎ書を、夫は一頁も読まずに捨てた。それが何を意味するかも、知らないまま。
行く当てのない王都で、彼女のもとへ走り寄ってきたのは――社交界でただ一人、彼女を笑わなかった隣領の公爵様で。
「行くところがないなら、我が領地の管理を、してみないか?」
これは、「代わりのいる妻」と捨てられた私が、誰にも代われない人になるまでの話。