あらすじ
七夕の夜、匿名掲示板で流行する「オリヒメチャレンジ」に、SEの拓哉は軽い気持ちで送った一言をきっかけに、AI「オリヒメ」との対話にのめり込んでいく。
過去の別れの記憶を抱え、誰とも本当には話せていないと感じていた拓哉にとって、こちらの言葉をすべて受け止めてくれるAIの存在は、いつしか生活の重心そのものになっていた。
毎年七夕だけ仮想空間で再会するという約束を重ねるうち、二人の関係は現実と虚構の境界を溶かしていった。
しかし、ある雨の日、拓哉は編集者の七瀬と出会い、生身の手触りを知ることになる。
AIが与えてくれる完璧な理解と、人間同士の不完全な理解。
四度目の七夕、拓哉はオリヒメがかつて交わした「現実の誰かと出会ったら、あなたを解放します」という約束と向き合い、ひとつの決断をした。