あらすじ
母の死は、本当に病死だったのか。
二十九年前、火葬され、記録され、忘れられたはずの死。
けれど法医学者となった九条雅紀は、一枚の死亡診断書と、焼け残った過去に辿り着く。
死者は黙っているのではない。
誰かが死因を誤れば、死者は二度殺される。
宗教法人、焼けた礼拝堂、密室めいた現場、そして「死因を誤るな」という一文。
これは、母の死因を取り戻そうとする法医学者の、祈りではなく解剖の物語。
登場人物
九条雅紀
白い髪と淡い瞳を持つ法医学者。母の死因を十二年越しに見つめ直す男。
真壁彰
警視庁捜査一課の刑事。九条の幼なじみであり、彼の危うさを誰よりも知る。
二階堂壮也
警視庁広報課の職員。事件と世論の炎上を追いながら、九条たちに巻き込まれる。
九条合歓
九条雅紀の母。教団の村から赤ん坊を連れて逃げた、物語の原点にいる女性。
御堂聖真
宗教法人・白胎会の代表。救済者として崇められながら、過去の疑惑を抱える男。
仁科重光
白胎会の理事で御堂の側近。教団の内部事情を知る重要人物。
鷲尾貞成
白胎会関連の古い死亡記録に関わる医師。過去と現在の事件をつなぐ存在。
早瀬
白胎会を追っていた人物。情報拡散と過去の疑惑に関わる、事件の外側の目。