あらすじ
六十を過ぎて、会社を辞めた。
十一月一日、母校の学園祭へふらりと出かけたその日、銀杏並木の下で四十年ぶりに彼女と再会した。
年に一度だけ、この日に会う。連絡先も交換しない。ただ「来年の今日」という約束だけを残して別れる。
渋谷の円山町に、築五十年を超える古いホテルがある。二階にあるのに、なぜか111号室。誰も理由を知らない。でも、いつもその部屋だけが空いている。
この部屋で満たされたものを、それぞれの日常へ持ち帰る。家族に優しくなれる。生きていることを実感できる。
やがて乾いた心を抱えた友人が輪に加わり、三人の静かな季節が始まる。
六十代、三人の大人が紡ぐ、少し後ろめたくて温かい再会の物語。
※性的描写あり(R15相当)。直接的な描写はありません。