あらすじ
都内のワンルームで一人暮らしをする男は、出来心で海外製の高級等身大ラブドール「メリー」を購入する。しかし、そのあまりにもリアルで生気のない佇まいに薄気味悪さを覚え、数日後にゴミ捨て場へ不法投棄してしまう。
その深夜、男のスマートフォンに非通知の着信が入る。
怪談の原典さながらに「私メリー。今、ゴミ捨て場にいるの……」と、不気味な合成音声で現在地を告げながら、確実に部屋へと近づいてくるメリー。アパートの階段を這い上がる生々しいシリコンの擦れる音。ついにメリーは部屋へと侵入し、男の背後に立って囁く。
「今、あなたの後ろにいるの」
絶体絶命の恐怖――と思いきや、男は最初から恐怖など感じていなかった。捨てたことで逆に歪んだ愛着を爆発させていた男は、ベッドの上で「待ってたよ」と歓喜の声をあげる。男の手には、メリーのために用意された深紅のランジェリーと、禍々しいアダルトグッズの数々が握られていた。
立場は一転。男のねっとりとした狂気に生命の危機(?)を察したメリーは、「いやぁぁ~!」と人間のものとは思えない絶叫をあげ、凄まじいスピードで夜の街へと逃げ出してゆく。追う男と、命からがら逃げる怪異。主客転倒の怪異ストーキングホラー、ここに開幕。