あらすじ
ある雨の日、ごく普通の青年・神崎悠真は、何の前触れもなく異世界へと引きずり込まれる。
目を覚ました先は、二つの月が夜空に浮かぶ見知らぬ大地。
言葉も通じず、食べ物の探し方も、生き延びる術も分からない。
そんな彼を待っていたのは、「冒険」のような華やかな世界ではなかった。
飢え。
寒さ。
魔物。
身分制度。
奴隷売買。
宗教と国家の対立。
そして、人間の欲望。
この世界では、人の命にも値段がつく。
親切には理由があり、善意には裏がある。
信じた相手が明日も味方である保証など、どこにもない。
何も知らない異邦人だった悠真は、幾度もの出会いと別れ、裏切りと喪失を経験しながら、この残酷な世界で生き抜く術を学んでいく。
人を信じることは弱さなのか。
誰かを守るためには、誰かを傷つけなければならないのか。
この世界に、本当の正義は存在するのか。
これは、世界を救う英雄の物語ではない。
何度絶望しても、それでもなお前を向いて歩き続けた、一人の異邦人の物語である。