あらすじ
「毒薬令嬢。お前との婚約を破棄する」
卒業式の夜、王太子ジークベルトから突きつけられた断罪の言葉。人を薬漬けにする悪女――そう罵られたリーゼロッテだが、彼女こそが王家の血族に伝わる遅効性の毒を、密かに抑え込んできた張本人だった。
前世は現代日本の薬剤師。その知識で作り上げた国宝級の解毒薬『薔薇の首飾り』を、彼女は静かに王太子の足元へ返す。喚かず、泣かず、膝もつかず。淑女らしく、優雅に微笑んで。
――だって、本物の解毒の鍵は、この頭の中にしかないのだから。
身一つで辿り着いたのは、荒くれ者たちが集う辺境の街。貴族の名を捨てた彼女は『辺境の薬師様』として、その腕一つで居場所を築いていく。一方、命綱を自ら手放した王都では――。
甘い香りを放つ薔薇には、毒がある。けれど、その香りは解毒のためにこそある。
理不尽に立ち向かう凛とした令嬢の、痛快なざまぁと、新たな出会いを描く短編・完結作。彼女が次に調合するのは、どんな「甘い毒」でしょうか?