あらすじ

四十五年前に戦場になった町ハブでは、「腹いっぱい食べたい」と口にするだけで笑われる。 爆撃跡のクレーターと紫に枯れた草だらけのこの土地では、腹を鳴らす前に、まず諦める方が早いからだ。 学術都市からやって来た十七歳の土壌研究者・悟は、そのハブの酒場二階に下宿しながら、毎日のように土を集めては比べている。 近所に住む年齢の近い少年・青葉とその弟の陸にお駄賃を払い、「ハブの土で育ったものを、ひもじい思いをせずに食べたい」という子どもじみた夢に、研究者として本気で付き合いながら。 けれど、町を囲う外壁の向こうには、さらに汚染のひどい旧市街地が広がっている。 危険区域を知り尽くした青葉の父は「絶対に外へ出るな」と言い、 酒場のマスター・マキシムはカウンター越しに、こう釘を刺す。 「外に出た分だけ、畑から遠のくかもしれん。それでも行くんか」 壁の内側の「まだ何とかなる土」と、壁の外側の「もう駄目かもしれない土」。 汚染地ハブで、腹の足しになる一枚の畑を探す。 どの範囲の土まで手を伸ばすかをめぐって、子どもと大人が話し合い、少しだけ前に進む、短い一日の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/07/07
  • 現在の作品汚染地の畑作りは、石橋の手前から