あらすじ
13世紀初頭――。
広大な草原を駆け、世界最大級の帝国を築き上げた男、チンギス・ハーン。
その寵姫クランとの間に生まれた少年、ゲレジアンは、偉大すぎる父の背中を追いながら成長していく。
戦場では勝利を重ね、父の血を受け継ぐ「蒼き狼の子」として見られるゲレジアン。
しかし彼が求めたのは、父と同じ征服ではなかった。
「強さとは、倒す力ではなく、守る力ではないのか」
その答えを探す中、彼はサマルカンド陥落後、一人の少女と出会う。
名はバナフシェ。
戦乱の街で傷ついた人々に水を渡す、美しい少女。
紫の花を意味する名を持つ彼女は、敵国の娘でありながら、ゲレジアンの心を変えていく。
だが、帝国の中では彼を危険視する者たちが動き始める。
父の後継者として生きるのか。
それとも、自分だけの道を選ぶのか。
蒼き狼の血を受け継いだ少年は、剣ではなく心で未来を切り拓こうとする。
これは、偉大な父を持った一人の青年が、自分自身を見つける物語。