あらすじ
『配給制度経済学 ― 企画院官僚・相馬修一の戦争』
昭和十三年(一九三八年)。
日中戦争の長期化により、日本はかつてない物資不足の時代へと向かっていた。
東京帝国大学を卒業した若き企画院官僚・相馬修一は、国家総動員法の下で日本経済を支える巨大な計画機構へ配属される。
彼の武器は銃ではない。
統計表と計算尺だった。
米は足りるのか。
石炭は運べるのか。
軍へ回すのか、国民へ回すのか。
机の上で引かれた一本の線が、農村の食卓を変え、工場の明かりを消し、やがて闇市を生み出していく。
前線で戦う兵士たちの陰で、日本全土の物流と配給を支えようとした名もなき官僚たち。
その戦いは、銃声のない戦争だった。
国家とは何か。
経済とは何か。
そして、人はなぜ飢えるのか。
企画院、農林省、陸軍、闇市商人、農家、配給所――。
激動の昭和を「配給」と「統計」から描く、異色の歴史経済大河小説。
戦争を兵站と数字から描く、新たな昭和史がここに始まる。