あらすじ
「貴様との婚約を破棄する」──身に覚えのない罪で王子に捨てられた伯爵令嬢リーゼロッテ。下された沙汰は、誰も食事をとる姿を見たことがないという「北の孤狼」、アイゼンファルク辺境伯への輿入れだった。
絶望する場面のはずが、彼女は衝撃のあまり前世を思い出す。味噌蔵の娘に生まれ、管理栄養士として「食べられない人」の最後の一匙を預かってきた、あの日々を。
嫁ぎ先で待っていたのは、幽鬼のように痩せた旦那様。毒に焼かれた舌には、何もかもが灰の味しかしないという。
──でしたら、重湯から始めましょう。
食べることは、生きること。一匙ずつ、ひと品ずつ。凍えた北の食卓が温まるころ、無愛想な旦那様の「おまえの飯じゃないと駄目だ」が止まらなくなって……?
これは、追放された令嬢が味噌を仕込み、夫を餌付けし、いつのまにか北いちばん愛される奥方様になるまでのお話。