あらすじ

祭壇の白い花は、五年間、一度も枯れたことがない。 誰が替えているのか、この家の誰も知らない。 伯爵家の後妻マレーナは、今日も静かに給仕をする。 夫が語るのは、亡き先妻の思い出ばかり。 先妻ならこうした、と比べられて五年になる。 けれど、社交界が噂する先妻の遺産は、どこにもない。 あったのは、先妻が遺した借金の山だった。 それを返し続けてきたのは、名前も呼ばれない後妻だ。 質入れされた形見を、ひとつずつ買い戻す。 義理の娘の学費を、気づかれないまま工面する。 命日の祭壇に、白い花を絶やさない。 最後の借用書の期日は、命日の翌週。 完済のその朝、彼女は離縁状と、整えた帳簿だけを残す。 比べられ続けた家で、亡き人を悼んでいたのは誰だったのか。 祭壇の花が枯れはじめたとき、あの家は何に気づくのか。

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小説を読もう2026/07/07
  • 現在の作品亡き奥様を敬っていたのは、旦那様ではなく後妻の私だったのでは?