あらすじ
大学生の透は、帰宅した自室の前で、全身から滴るような黒いシミを纏った「死の気配」を漂わせる謎の男と遭遇する。
男は透を見つめ、「やっと見つけた」と言い残して透の首筋に触れた。
次の瞬間、透の日常は侵食される。
自身の部屋の中で、壁を透過して現れた男は、かつてその部屋で命を落とした存在だった。
男は、自分を「視て」くれていた透に対し、孤独と狂気を含んだ強烈な執着を見せる。
男は「君の体温で、もう一度人間になりたい」と願い、冷たい指先で透の境界をゆっくりと溶かしていく。
死者と生者という相容れない二人が、恐怖と背中合わせの切ない情愛の中で、混ざり合うように消えていく夜の物語。